皆様ごきげんよう
第3話に書きましたルディーのシュテムターンを見てしまって
痺れたお話です
ルディーさんはスキー大国オーストリアのデモでした
今は多分ブンデス(国立スキー学校)の上層部に君臨されています(確か)
ルディー・ラッパーさんと言います
私が志賀高原にいた頃
まだ25歳か26歳の頃のこと
当時在籍させてもらっていたスクールが
「日墺国際スキー協会」だったこともあり
毎年本場オーストリアからデモを招いて撮影をしたり
技術を学んだりさせてもらっていて
ルディーと出会うことができました
彼はまだ若く確か22歳くらいだったと思います
小気味の良いスキーをたくさん見て毎日ワクワクしていました
ボッコボコのコブ斜面で撮影をしていた時に
すごいスピードで滑り降りていく後ろ姿を見ていたら
突然ものすごい勢いで前方宙返りをしていました
子猫みたいでした
そんなある日
低速技術をお勉強させてもらっていた私は
ルディーのシュテムターンを見てしまったのです
今はもうあまり「谷開きシュテムターン」を聞かなくなりましたが・・・
当時オーストリア国立スキー学校が出していたスキー映画のビデオ
「シュビンゲン」の一説に
「全てのターンは 谷足のふみ蹴りによって始まる」と言うセリフがありました
その根元が 谷開きシュテムターンです
私はそれまでパラレルターンの抜重方向ばかりにとらわれていたのですが
その日
その
ルディーの谷開きシュテムターンを見て
「なんちゅ〜カッコええ滑りなんや!」
と、脳裏と眼球に鮮やかに録画されました
今も再生できます
谷スキーの開き出しの量
開き出しにかかる数秒
引き寄せ時に一瞬スキーが浮くその分量
外スキー1本になるその瞬間の外スキーから伸びる外足の寸分ない軸の作り方
踏み蹴った瞬間に今までうちスキーだった板が
スイ!と走りながら外スキーへとスイッチされる様子
谷スキーを踏み蹴るその反動で
全てが次へパスされていく様子
どれもが絶妙でした
どれもが最適な量でした
「流れ」ていました
流動していました
「これがあのシュビンゲンで言うてた
全てのターンは谷足の踏み蹴りによって始まる って言うやつやん!」
と、私は
ストン!!!と、どこかに落とされたのでした
人は本当に本物を見ると
あまりにも当たり前に物事をやっているので
自分にもできるような気持ちになるものです
しかし
時間を置くと 真似るようにはできませんね
私はすぐにルディーを真似ました
脳裏と眼球に焼きつけた
ほんの数秒後に真似ました
すごかったです
「シュテムターン気持ちええ〜〜〜〜〜!」ってなりました
その年から私はSIAのデモ選に出始め
14年間デモンストレーターを努めさせてもらいましたが
シュテムターンという種目では1位の座を他の人にあけ渡したことはありません
当たり前です
私の中には
あの日のルディーが住みついているからです
第3話にも書きましたが
一目惚れは偶然出会うものです
私はルディーから何か盗もうと思って見ていたのではありません
偶然雷に打たれたように痺れたのです
それ好き雷 それ欲しい雷に天中から打たれたのです
もし
あの時
瞬きのタイミングが0コンマ何秒がずれていたら
そういう風には見れなかったかもしれません
全てドンピシャだったのですね
2019年夕張でSIA フェスティバルがあったときの
招待国がオーストリアで
ルディーと会うことができました
ルディーは私をちゃんと覚えていてくれました
一緒にデモ選のジャッジをしました
ルディーは
まさか
私の中に自分が住み続けているなんて知る由もなでしょう
が
もし
次会うことがあったら
伝えたいし ありがとうを言いたいです
※ルディーと私・ルディーと柴さんの画像です 柴さんは私をデモに育ててくれた人です
皆さんもどこかで何かの本物と出会った時には
そのチャンスを見逃さないように
瞬きは最小限にしましょうね
終
ごきげんよう さようなら
第5話は未定です(リクエストあればどうぞ)
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